この記事は本来【第八話】として紹介する予定だったものだが、執筆途中でゲリラ豪雨で葉柄が折れるという予想外の大事故が発生し、急遽そちらを【第八話】として先に公開したため、時系列が多少曖昧になっている。
2026年5月中旬、ホームセンターでいちごの苗を3株購入してから早1ヵ月。
開花もしたし、受粉もしたし、実がなりつつあるし、ということでかなり順調に育ってきている。

3株を並べて植えたうち、真ん中の株だけ特に元気で「おまえ、栄養総取りしてない?」とも思うが、まあ、とりあえず全員元気そうなのでヨシ。
だが最近、ある違和感が頭をよぎり始めた。
「葉、多すぎじゃね?」
と。

葉が多いと何がダメなのか
葉は光合成をする。
つまり植物にとっての発電所であり、エネルギー工場であり、生命線である。

なのでわたしのような園芸初心者は一度は必ずこう思う。
「葉っぱ、多いほど良いのでは?」
と。
だがどうやら、そう単純でもないらしい。
葉が増えすぎると、葉同士が重なり始める。
すると、
という負のコンボが始まる。
しかも重なった葉は日陰になり、ろくに光合成もしなくなる。

つまり、「働かないのに病気・害虫リスクだけ高い葉」が誕生するのである。
恐ろしい。
なので定期的に葉を整理する必要がある。
そこで登場するのが、
である。
感覚で芽かきするな。
ここで問題が発生する。
わたしは、いくつか「葉かき」「芽かき」動画を倍速で観てから、
「ようわからん。まあ、とりあえず芽取ればええんやろ?」
というノリで、バッサバッサと葉や芽を減らしていった。

気づけば、わたしの足元には大量の葉と芽が散乱していた。それらを無言でゴミ袋へ詰め込み、わたしは妙な達成感すら覚えていた。
「ふぅ……終わったぜ」
しかし。
作業後、改めてプランターを眺めた瞬間、わたしは静かに青ざめた。

ん、減り過ぎでは!!!??
思い切りがいいのがわたしの取り柄だが、これはさすがにやり過ぎだろう。
ここまでいくと、芽かきではなくむしろ『伐採』である。
皆さんにはぜひ、わたしを反面教師として正しい葉かき・芽かきを学んで頂きたい。
葉かきと芽かきの違い
まずは葉かきと芽かきについて簡単に表で比較しておきたい。
| 作業 | 取るもの | 主目的 | 放置すると… |
| 葉かき | ・古い葉 ・混み合った葉 | ・風通し改善 ・病気予防 | ・病気 ・害虫リスク |
| 芽かき | 脇芽 | ・栄養集中 ・株の増え過ぎ防止 | 実が小さくなりやすい |
超ザックリ言うと、
葉かきは環境改善(葉がモサモサ → 風通し悪い → 葉かき)
芽かきは栄養集中(株が増殖 → 栄養が分散 → 芽かき)
である。
葉の数え方と葉かき
さて、まずは「葉かき」について紹介しようと思うが、早速ややこしい話になってしまう。
実は我々一般人と園芸界では「葉の数え方」が違う。
我々一般人は「葉っぱ1枚=1枚」と数えるが、農家や園芸Youtuberたちは「葉がまとまって付いている一本の単位=1枚」と数える。

意味がわからない。
最初にYoutubeで見た時、わたしは本気で混乱した。
園芸Youtuberが、葉が3枚モサッと付いている部分を指差して、「まずここが1枚ですね〜」とか言い始めたのである。
いや、3枚あるやん。
わたしは心の中でツッコミながら、別の動画へ逃亡した。
しかし、どの動画でも同じ数え方をしている。
そこでわたしは悟った。
「これはもう、そういう宗教なのだ」
と。
なのでこのブログでも、不本意ながら園芸界ルールに従って解説する。
葉は常に5~6枚残すようにする
この園芸ルールで数えて、1株につき常に5〜6枚程度の葉を残すのが良いらしい。
たとえば葉が9枚あるなら、外側の古い葉を3~4枚ほどむしり取ればいい。

いちごは中心から新葉が出てくるので、葉かきでは外側の古い葉から整理していくのが基本だ。
古い葉は、
という、だいぶ不遇な存在になっていく。
なので、まずは外側の葉から減らしていこう。
2/5葉序とかいう、植物界の数学
さらに調べていると、いちご(に限らずだが)には「2/5葉序(ようじょ)」というルールが存在することを知った。
初めて聞いた。
33歳にして初耳である。
これは、いちごの葉が生える順番を表す言葉で、「葉を5枚出す間に茎の周りを2周する」という意味である。
文章だと完全にポカーンなので、まずは図を見てほしい。
実はいちごの葉は、下の1→5の順番で葉っぱが生える。

なにが言いたいかというと、植物には新葉が出る時は既にある葉と重ならないように少し位置をずらして出てくるという性質がある、ということ。
これを『2/5葉序』と呼び、まさかの中学校理科で習うらしい。
(おれは習った覚えが全くないぞ。)
「星を描く順番で葉が出る」と説明されることも多い。

このように、効率よく太陽光を受けるために、植物は自動で葉を最適配置しているのである。
そう思うと植物ってすごすぎる。
ではここでクエスチョン。ダダン!!
6枚目の葉はどこに出るだろうか?
チッチッチッ…終了!
もちろん、1枚目の葉の上側に出る。
するとどうなる?
1枚目の葉は、新たに出た6枚目の葉の日陰になり、光合成の効率がグンと落ちる。
なので、6枚目の葉が出たタイミングで日陰になる1枚目の葉を除去、つまり葉かきをする。
これで常に「若くて効率の良い葉」をキープできるわけだ。
これが、「葉は5〜6枚をキープしよう」という教えの本質である。
植物って賢すぎる。
芽かき
さて、ここからが本番。
初心者を混乱の渦に叩き込む存在、それが脇芽(わきめ)である。
「芽かき」とは、その脇芽(わきめ)を取る作業のこと。

脇芽とは、親株の横から新しく出現する“もう一つの株候補”である。


正式には「側枝(そくし)」と呼ばれるらしい、なんか急に学術感が出る。
脇芽はどこから出るのか
脇芽は主に、
などから、ぬるっと現れる。
しかもこいつら、見た目が普通に「新しい主役感」を出してくるので非常に紛らわしい。
脇芽の特定は初心者には難しく、「これは…脇芽?普通の葉っぱ?」と誰しも必ず一度は頭を抱えることになる。

普通の新葉は、クラウン中央の生長点から上方向へ展開する。
イチゴは基本的に「株の真ん中から葉が出る植物」であり、親株のクラウン中心以外から葉が出てきたら怪しんでいい。

「おい待て、お前……“新葉ですけど?”みたいな顔してる脇芽だろ!!!」
わたしは脇芽を見つけ次第職務質問をし、身元確認を行っている。
黒ならその場でひきちぎる。


通常、クラウンの中心には生長点が存在し、その生長点から新葉が生まれ、それから徐々に2/5葉序の規則に従って毎回ほんの少し角度を変えながら葉が出てくる。
なので、クラウンの中心から出ていない新葉は脇芽から出ている新葉であるとわかる(そこに脇芽の生長点があるということ)。
わたしは未だに脇芽判定には自信がない。が、その不安な状態のまま「てめぇ、脇芽か?」というノリで、脇芽らしきものを次々に除去していった。

いま思うと、新葉を脇芽と勘違いして除去し、未来の光合成エースたちを粛清していた可能性がある。
おそらくいちごには「和製スターリン」と呼ばれていることだろう。
その結果がこれ。

スカスカ!!!
これは明らかにやり過ぎだろう。
なぜ脇芽が多いと実が小さくなるのか
いちごは、
など、大量のエネルギーを消費する植物である。
芽がいくつあってもプランター内の水・空気・栄養の量は同じなので、脇芽が増えるほど、
「本体の栄養、こっちにも回してくださいよ〜」
というめんどくさい子分が増える。

その結果、
などが起きやすくなる。
特にプランター栽培では根域が狭いため、影響が出やすい。
おわりに
……ということで、「葉かき」と「芽かき」について学んだ結果、わたしは悟った。
「知識ゼロで勢いだけで芽かきすると、普通に株を弱らせる」
である。現在のわたしのいちごは、
という、もはや「家庭菜園」ではなく、小規模な歴史的大災害の渦中にいる。
果たして今年、一つでも大きく甘いイチゴを収穫することはできるのか。
そして、わたしは脇芽を正しく見分けられるようになるのか。
第十話に続く。



すだち
コメント